2013年11月20日水曜日

市民が使っている水道を勝手に止める東大阪市水道局職員

東大阪市上下水道局職員2名が来て、当家が使用中の水道の元栓を勝手に止め、そのまま帰ろうとしていたので、厳重に抗議した。(2013年11月20日(水)午前9時40分)

2013年11月16日土曜日

大阪簡易裁判所の調停の呼出しにも応じず、雇用契約上の地位が確認された労働審判における調停条項も履行しない雇用主。(画像は労働日なしとした2013年12月予定表と労働審判期日調書)


調 停 申 立 書

2013年(平成25年) 7月25日
大阪簡易裁判所  御中
     申立人    梁  視 訓   印

   〒577−****
   大阪府東大阪市**********        
       申立人    梁   視 訓
       TEL   **(****)****
       FAX   **(****)****
   〒520−****      
   滋賀県***********
       相手方 一般財団法人 近畿健康管理センター
       代表者理事長  * *  *
       TEL   ***(***)****
       FAX   ***(***)****
          調停条項履行未払い賃金等請求調停事件
調停事項の価格 金 468万円也
手数料額    金 14,500円也

申 立 て の 趣 旨
1 相手方は、大阪地方裁判所平成18年(労)第69号地位確認等請求労働審判事件において成立した「申立人と相手方は、申立人が相手方との間の雇用契約上の権利を有する地位にあることを、相互に確認する。」との調停条項1をすみやかに履行すること。
2 相手方は、申立人に対し、未払い賃金の一部として金468万円を支払うこと。
3 相手方は、申立人に対してなした2009年(平成21年)4月8日付け厳重注意処分、2010年(平成22年)3月23日付け懲戒処分および2010年(平成22年)5月17日付け懲戒処分を取り消すこと。
4 相手方は、申立人が民事調停、労働審判、民事訴訟その他の法的手続きをとることを妨げないこと。また、それらの手続きがとられた場合に不利益な取扱いをもって応じないこと。 
 申立人は以上の趣旨および労働基準法違反の是正、就業環境の整備など関連する事柄についての調停を求める。
紛 争 の 要 点
1 当事者
 相手方一般財団法人近畿健康管理センターは労働安全衛生法に基づく健康診断などを実施する医療機関であり、申立人は相手方に勤務する医師である。
2 調停条項の履行
 長年にわたって相手方に勤務してきた申立人は、2004年(平成16年)6月に相手方から就労を打ち切ることを通告され、3年近くの間就労することができず、収入も途絶えたが、2007年(平成19年)3月に大阪地裁の労働審判(平成18年(労)第69号地位確認等請求労働審判事件)で、申立人が相手方との間の雇用契約上の権利を有する地位にあることを相互に確認する調停が成立した(甲第1号証)。同労働審判における書証の甲第1号証であった1998年(平成10年)4月1日付け雇用通知書(甲第2号証)にある月16日という労働日数は申立人の過去の実績から言うとむしろ控え目な日数であるが、復職以降もその労働日数が守られたことはなく、昨年10月からの労働日とされた一ヶ月ごとの日数は以下のとおりである。
2012年(平成24年)10月  2日   
            11月  7日   
            12月  3日   
2013年(平成25年) 1月  2日   
             2月  6日   
             3月  7日   
             4月  5日   
             5月  4日   
             6月  5日   
 このように就業日数と賃金が激減する中で2日のみを出勤日とした本年8月分の予定が送られてきた。申立人は毎月のように申し入れ書を提出するなど、法律的問題の解決の為に奔走しなければならないことが続いているが、その一方で、次々と相手方から新たな指示が出され、業務の負担は重くなるばかりである。また、遠方の健診会場や健康上望ましくない就業環境の下での業務を強いられたりと日々の摩擦が絶えることがない。申立人はことあるごとに裁判所に赴き、調停成立の労働審判手続き期日調書の正本や謄本の交付請求をし、それを相手方に提出して訴えたり、申立人が解雇された事件記録を調べ直して相手方に過去の事案を想起させたり、調停調書などについて法律関係の本を示して理解を促したりと、あらゆる努力を重ねているが、相手方には一向に真摯に応じる気配がうかがえない。
 2011年(平成23年)11月15日付けで通知があった同年12月の出勤予定表(甲第3号証)の労働日数は0(ゼロ)日であり、申立人は内容証明郵便で調停条項の誠実な履行を求めなければならなかった(甲第4号証)。本調停においても何よりもまず、相手方に対し、労働審判における調停条項を誠実に履行することを求めなければならない。
3 労働審判における調停成立以降の未払い賃金額
 昨年2012年(平成24年)7月1日付けの未払い賃金等請求書(甲第5号証)で示したように、20年程前の申立人の一ヶ月の平均労働日数は18.9日であったのに対し、昨年3月から7月までの総労働日数は32日で、一ヶ月の平均労働日数は6.4日となり、およそ3分の1にまで減少した。本年3月から7月までの総労働日数は26日であり、一ヶ月の平均労働日数は5.2日となり、昨年に比べても一段と削減されている。
 労働審判における甲第1号証であり、大阪簡易裁判所平成22年(ノ)第928号ハラスメント等差止請求調停事件において相手方から乙第7号証として提出された平成10年4月1日付け雇用通知書(甲第2号証)にある月16日という労働日数を基にしたとしても使用者に帰責事由がある休業に適用される民法第536条第2項に基づく職場復帰以降の休業日数分の未払い賃金は、2012年(平成24年)5月までで計3309万円、本年6月までで合計4185万円に上る。
 労働日を極端に削減することにより、相手方が申立人に強いた休業は単に使用者に帰責事由がある休業という性質にとどまらず、調停条項の不履行としての性格を持つだけに決して軽んぜられてよいものではない。
4 2011年(平成23年)2月末以降の月曜日と金曜日に強いた休業分賃金
 2011年(平成23年)2月21日(月)に相手方は申立人を突然呼び出し、2月のそれ以降の診療所勤務の日程を取り消し、同時に出張(巡回)健診への異動を命じた。翌月3月の出張健診の予定表には午前9時から午後4時までとなっている就業時間に満たない健診業務が組まれていたが、その時協議が進んでいた大阪簡易裁判所での調停事件(平成22年(ノ)第928号)の場で「雇用(労働条件)通知書において決められた時間が賃金の対象となるのは当然である。」と午後4時までの賃金が支払われることが確認され、実際に同年3月と5月にはそのような取り扱いがなされた。
 ところが、たとえば、同年12月の予定表(甲第3号証)にはその月の月曜日、金曜日すべてに「ご依頼事業所なし(9:00~16:00以上の該当事業所なしの為)」と記されており、その月の賃金はゼロであった(後に年次有給休暇として2日分のみの給与が支払われた。)。同様に「9時00分から16時00分まで以上の該当事業所なしの為」などという理由でその年、2011年(平成23年)2月から本年6月までの期間において全部併せて63日間について、業務に就かせず、休業とした。
 2011年(平成23年)2月から2013年(平成25年)6月までの「ご依頼事業所なし(9:00~16:00以上の該当事業所なしの為)」などの理由で月曜日、金曜日さえ休業とした日数は以下の通りである。数字は年度末を除いて前月26日から当月25日までの一ヶ月間の日数。
2011年(平成23年)2月 2日  3月 1日  6月 1日  
7月 4日  8月 4日  10月 1日  11月 2日  12月 5日
2012年(平成24年)1月 4日  4月 2日  5月 1日 
6月 5日  7月 2日  8月 3日  9月 1日  10月 4日  
11月 1日  12月 5日
2013年(平成25年)1月 3日  2月 2日  3月 1日
4月 3日  5月 2日  6月 4日
 以上のように、雇用通知書に明記され、調停手続きにおいても確認され、一端実行された事柄を反古にし、全く独断的な理由を付けてさらに休業を強いるようになった分の未払い賃金の合計は378万円となる。
5 従前どおりにさえ認められなくなった年次有給休暇
 2004年(平成16年)の解雇事件以前においても、それ以降においても曜日にかかわらず年次有給休暇取得は認められていた(甲第6号証)。ところが、2011年(平成23年)12月に年休取得を申し出た12月20日(火曜日)から12月22日(木曜日)まで及び12月27日(火曜日)の4日間の労働日を初め、同様に年休取得を届け出た2012年(平成24年)2月14日(火曜日)、2月15日(水曜日)、2月16日(木曜日)、および3月29日(木曜日)、今年に入って、2月19日(火曜日)、2月20日(水曜日)、2月21日(木曜日)および3月21日(木曜日)3月26日(火曜日)3月27日(水曜日)3月28日(木曜日)の労働日について、如何なる理由もなく月曜日と金曜日以外は年休取得を認めないという措置がとられ、これらの年休取得日の賃金は支払われていない。それらの金額の合計は90万円である。(甲第7号証から甲第12号証)
 職場に復帰して以降の休業分全体の賃金をそのまま請求することは、調停手続きにおける対話姿勢に影響することも考えられるので、あくまで対話を重視する観点から、まずその内の一部分である、一昨年2月から本年6月までのとりわけ違法性が顕著な使用者に帰責事由がある休業分などについて、本調停でそのすみやかな支払いを求め、その他の分については、別に改めて請求することにしたい。本調停での請求分には従前どおりにさえ認められなくなった年休分、9時から16時まで以上の該当事業所なしという全く恣意的な理由付けによって休業を強いながら、その賃金支払いを怠っている分が含まれるが、これらはまずもって支払ってもらわなければならない賃金であり、4と5の項目の合計額468万円が請求金額である。
6 懲戒等の処分の取り消し
 2009年(平成21年)3月は合計5日しか勤務がなく、通常なら勤務日であるはずの3月16日(月曜日)、3月27日(金曜日)、3月30日(月曜日)に申立人は調停条項を履行するため相手方大阪兵庫事業部に出勤したところ、厳重注意処分が下された(甲第13号証)。2010年(平成22年)3月19日も同様に通常は勤務日なので、出勤したところ今度は減給の懲戒処分が下された(甲第14号証)。同年4月30日(金曜日)午前の勤務が終わった後午後も同じ場所で引き続き業務を続けたところ、これも減給の懲戒処分となった(甲第15号証)。相手方が調停条項の履行を怠ったために申立人が調停条項を履行しようと相手方事業部に出勤したことに対し、このように相手方は懲戒等の処分を繰り返すという行動に出た。その内2010年(平成22年)4月30日午後の勤務については、労働基準監督署から労基法第26条の違反事項として、「労働者梁視訓の平成22年4月30日の就労に関し、1日の所定労働時間の一部を使用者の責に帰すべき事由により休業させたにもかかわらず平均賃金の100分の60以上の手当を支払っていないこと。」とする是正勧告が出された(甲第16号証)。それを機に申立人は懲戒等の処分の見直しを求めたものの、減給の懲戒処分等が取り消されることはなく、減給分の賃金も返還されていない。
 以上のいずれの処分も相手方自身が調停条項を履行しないのみならず、居直るかのように、それを履行しようとした申立人に対して、懲戒等の処分を課すことを繰り返した、身勝手極まりない行為であり、その取り消しを求める。
7 労働基準法違反の是正
 相手方は、労働条件明示を定めた労働基準法第15条、休業手当について定めた同法第26、年次有給休暇についての定めである同法第39条等に違反していることが明白であり、それらを即刻改めることを求める。その他、「労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と定めた同法第3条と労働者の申告権の規定である同法第104条とその第2項については違反行為がないよう特に注意を喚起したいところである。
8 労働審判事件記録の再検証
 相手方がなおも理由もなく申立人を業務に就かせなかった時には、解雇事件を思い起こしてもらうため、申立人は大阪地方裁判所に赴き、労働審判事件記録を再検討し、その結果をまとめて、提出したりもした。その一部を引用すると、「業務委託契約書に署名しなければ、業務を打ち切ると明示し、予定表と地図を送付しないことによって、業務打ち切りが実行に移されていたことからしますと、その後に生じた受診者のクレーム騒ぎを真の理由とするには。時間的順序が逆ですから、無理があるのではないでしょうか。」と解雇理由のすり替えがなされた事実を指摘したこともあった(甲第17号証)。9年前の解雇により財産を失い、その後遺症に今も悩まされている者としては、同じような方法で同じように不当な行為が長期にわたって繰り返されていることに対し、相手方に記録を何度も示して自覚を求めないわけにはいかない。
9 就業環境その他について
 申立人は労働日数や賃金などの数字に現れる以上に、実際の就業においてさまざまな困難に直面している。一つ一つだけを取りあげれば、些細なことのように見えても、数多く繰り返され、積み重ねられることによって、そのダメージが侮れなくなる迷惑行為の類は数えきれないほどである。相手方は医療の専門機関でありながら、就労の際の健康面への配慮に欠ける面がみられることも気にかかるところである。昨年の淡路島での健診や最近の能勢町での業務においてもそうであった(甲第 18号証と甲第19号証)。出張健診は毎回環境が異なるので、長年続けていると適応力がある若いスタッフが気付かないような思わぬ支障が生じることもある。ここではそれらについてその都度使用者側に提出した書面を示して、類似行為が繰り返されることがないよう求めたい。
10 法的手続きに対し不利益な取扱いをしないこと等の保証について
 労働者の立場に限らず市民にはどのような場合であっても民事調停、労働審判、民事訴訟その他の法的手続きをとる権利があり、その権利が侵されることはあってはならないことであるが、本件のように申立人が相手方に雇用されている身であり、紛争が長期化しているケースにおいてはあえて不利益な取扱いをしないこと等の確約を得ることは是非とも必要である。
 労働基準法の違反申告については、同法第104条の第2項によって同様の保証がなされているように、弱い立場にある労働者にとっては、市民の当然の権利である法的手続きをとることを妨げられたり、手続きをとった場合に不利益をもって応じられたりすることがないという保証がなければ、そのような手続きをとることに一段とブレーキがかかってしまうことにもなりかねない。
11 「調停への誘い」という本との出会い
 そのような中で、大阪地裁を訪れた際、新鮮な視点を提供してくれる「調停への誘い」と言う本に出会った。その第1ページ目には「紛争、調停、調停人について」と題して、「米国の社会心理学者たちは、我々が、懐柔やごまかしや脅迫という手段を用いて競争を収めようとするとき、それが紛争に拡大すること、対照的に、健全な競争は社会を動かすエネルギーを生み、我々の生活を進歩させることを実証してくれた。彼らの研究から、紛争管理と呼ばれる新しい学問が生まれたが、それは、“競争を受け入れ、そのうえで競争の仕方”について考える学問と言える。紛争管理の理念は、通常、調停を通じて実践される。」云々と記されている(甲第20号証)。調停の意義を再発見させてくれる著作との出会いを契機として、民事訴訟の確定判決と同じ効力がある調停条項さえ履行されない本件紛争の解決を求めるにふさわしい場所として、民事調停を選択し、本申立に及んだ次第である。
12 代理人依頼などについて 
 最後に、相手方の代理人選任について、一言触れておきたい。相手方には、裁判所などでの手続きに限らず、日常の業務においても法律的判断を必要とすることはますます多くなるであろうし、その度ごとに専門家などの判断に頼ったりするのではなく、自ら的確に法律的な判断を下せる体制を整えてほしいものである。また、代理人ではいちいち持ち帰って相談した上でないと判断を下せないし、事情を飲み込むにも簡単ではなく、時間もかかる。代理人依頼のために少なからぬ経費を費やすのも、申立人への賃金未払いが相当額に上っている中では、奇妙なことである。であるので、裁判所の許可が要るかも知れないが、事情に詳しい相手方の職員自身が調停に出向いて来てほしいところである。調停の場においては、これまで雇用主側に提出した書面を時間はかかっても一つ一つ確認する作業から始めることを希望したい。
               証 拠 方 法
1 甲第1号証 大阪地方裁判所平成18年(労)第69号地位確認等請求労働審判事件第3回労働審判手続期日調書(調停成立)謄本(写し) 
2 甲第2号証 1998年(平成10年)4月1日付け雇用通知書
3 甲第3号証 2011年(平成23年)12月の出勤予定表
4 甲第4号証 2011年(平成23年)11月28日付け「調停条項の履行について」(内容証明郵便で送付)
5 甲第5号証 2012年(平成24年)7月1日付け「未払い賃金等請求書」
6 甲第6号証 2007年(平成19年)12月分および2008年(平成20年)1月分パートナースタッフ出勤表
7 甲第7号証 2011年(平成23年)12月16日付け「年次有給休暇取得の申請」
8 甲第8号証 2012年(平成24年)2月8日付け「就労場所通知の請求と予備的な年次有給休暇取得の届出書」
9 甲第9号証 2013年(平成25年)2月18日付け「年次有給休暇取得申請書」
10 甲第10号証 2013年(平成25年)3月18日付け「2013年3月の年休取得申請および2月分の申請について」
11 甲第11号証 2013年(平成25年)2月19日付け「年次有給休暇取得申請書の件」
12 甲第12号証 2013年(平成25年)3月19日付け「年次有給休暇取得申請書の件」
13 甲第13号証 2009年(平成21年)4月8日付け「厳重注意通知書」
14 甲第14号証 2010年(平成22年)3月23日付け「懲戒処分通知書」
15 甲第15号証 2010年(平成22年)5月17日付け「懲戒処分通知書」
16 甲第16号証 2010年(平成22年)8月3日付け「是正勧告書」
17 甲第17号証 2012年(平成24年)8月30日付け「労働審判事件記録等閲覧報告書」
18 甲第18号証 2012年(平成24年)10月1日付け「淡路島洲本での健診について」
19 甲第19号証 2013年(平成25年)7月1日付け「能勢町での健診について」
20 甲第20号証 「調停への誘い」(紛争管理と現代調停のためのトレーニング書)「紛争、調停、調停人について」
添 付 書 類
1 資格証明書             1通
2 甲号証写し            各1通

2013年10月29日火曜日

2013年10月29日即時抗告状提出


即 時 抗 告 状

          〒577-****
          大阪府東大阪市**********
          抗告人(異議申立人、調停申立人) 梁  視 訓
          TEL 06(6729)****
          FAX 06(6729)****
          〒520−****      
          滋賀県************
          調停事件相手方一般財団法人近畿健康管理センター
          代表者代表理事  * *   *
          TEL   077(***)****
          FAX   077(***)****
 上記当事者間の大阪簡易裁判所平成25年(ノ)第381号未払い賃金等請求調停事件(本案調停事件)における大阪簡易裁判所平成25年(サ)第882号裁判所書記官の処分に対する異議申立事件について,同裁判所が平成25年10月24日付けでした下記決定は,不服であるから抗告を提起する。
原 決 定 の 表 示
主   文
 本件異議申立てを棄却する。
 異議申立費用は、申立人の負担とする。
抗 告 の 趣 旨
1 原決定を取り消す。
2 大阪簡易裁判所書記官は本案調停事件(基本事件)において相手方が提出した照会書の回答を抗告人に閲覧謄写させ、それの謄本を交付せよ。
との決定を求める。
抗 告 の 理 由
1 民事調停法第34条は不出頭に対する制裁として、「裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、裁判所は、五万円以下の過料に処する。」と定めている。この条文につき、「本条は、期日の呼出を受けてこれに応じない場合の制裁規定である。」「調停は、裁判官や調停委員会と当事者とが期日に会合し、説得の機会を得て始めてその機能を発揮し得るのであって、この機会を確保することは、調停制度が実効性をもつための最小限度の要求といってもよい。」と最高裁判所事務総局民事局出版の「民事調停法規の解説」には記されている。(疎甲第1号証)
 本件本案調停事件(基本事件)についても、2度の呼出しに応じなかった相手方の行為につき、それが正当な理由によるものかどうかの判断を裁判所は下さなければならないが、その判断材料となる資料としては、相手方から返送されてきた照会書以外にはほとんど見当たらない。
 ところが、この照会書の回答は現在のところ調停事件記録に含まれておらず、当事者にさえ開示されていないから、その照会書を判断材料とし、それを元に正当事由の有無を認定することはできない。なぜなら、当事者にさえ開示しないまま裁判所が判断したり、手続きを進めることは秘密裁判の性格を帯びることになってしまうからである。
 一方で、相手方は、裁判所の要請に応じ、出頭しない理由を提出したと主張するであろうから、その理由が記された照会書の回答を判断の材料としないことには釈然としないし、納得できないであろう。(現に相手方は2013年(平成25年)10月11日付け送付書で「「第1回期日の調停手続き等について」と題する書面(平成25年10月6日付け)を送付頂きましたが、この調停には応じられない旨返答をさせていただいており、送付書類は受け取りかねますので、返送致します。」と裁判所から送付された書類を送り返すほどの強硬姿勢である。)
(疎甲第2号証)
 このようにして、相手方からの照会書の回答を今のように取扱うことによって、裁判所は不出頭が正当事由によるものかどうかの判断もできず、立ち往生してしまう事態に直面することになる。
2 調停事件記録は「調停記録とは、特定の調停事件に関して調停裁判所、調停機関である調停委員会または調停を行なう裁判官、その他国家機関等が作成した書類、当事者その他事件の関係人が作成提出した申立書、上申書、答弁書その他一切の関係書類を編綴し、調停事件一件毎に編成された簿冊をいい、裁判所は一定期間これを保存することになっている。」(疎甲第3号証「民事調停法実務総攬」371ページ)「調停記録とは、特定の調停事件に関して、調停裁判所・調停機関・裁判所書記官・民事調停委員その他の国家機関が作成し、または当事者その他の事件関係人が作成もしくは提出した一切の書類を編成した簿冊をいう。」(疎甲第4号証現代実務法律講座「民事調停法」273ページ)などとあるように関係書類「一切」のものを含むとされる。ここにいう「一切」とは「全部、残らず」を強調した言葉であり、もともと、それ以外に裁判所職員が内々に用いる記録などは想定されていない。
 しかるに、照会書の回答は事件記録に綴じられておらず、その他にも事件記録に綴じられていない書類があるようである。判例タイムズ臨時増刊2003年11月30日号「大阪簡易裁判所における民事調停事件の諸手続と書式モデル」(疎甲第5号証)によれば、事件経過表という書類が存在するはずであるが、当事者が閲覧できる本案の事件記録の中には見当たらないから、照会書と同様に当事者にも閲覧謄写させないものとして取り扱われているのであろう。事件経過表は調書と同一の効力を有する場合もある書類であり、そのように重要な書類までもが当事者に開示されないとすれば、驚きを禁じ得ないが、同誌に掲載された書式によれば、確かにこの書面の冒頭には「閲覧謄写不可」と記されている(疎甲第5号証)。(付け加えておくならば、「民事調停法実務総攬」では、調停事件期日経過表は「記録に編綴することにしている。」との説明である。疎甲第6号証は「民事調停法実務総攬」に文例として記載された調停事件期日経過表とそれについての本文の説明。)
 民事調停と言えども、当事者が事件記録の内容を正確かつ充分に知って、これを吟味検討し、意見を言ったり、反論したりする機会が保障されて始めて公正な手続きと言えるのであり、当事者が何らかの事柄について知らないままの状態で裁判所が手続きを進めたのでは、公正な手続きとは言えない。
 民事訴訟においては訴訟記録の一切を当事者が閲覧、謄写できる権利を一般公開原則とは別に当事者公開の原則というが、民事調停においては、なおさら、当事者が事実関係その他についてよく知らされ、納得を得る手続きを経た上で当事者双方の合意が図られるべきであって、そうでなければ、仮に合意に至ったとしてもそれはかりそめの、そして、うわべだけの合意であって、後々に紛争が再燃する火種を残すことになる。
 また、民事調停においては、当事者に知らせない措置と言うのは当事者の自主的な取り組みを否定しているようなものであり、心理的にも当事者は疎外されているような印象を持つことになるであろう。その方法は市民の権利が確立されておらず、何事も密かに行なわれる秘密主義が裁判にまで及んでいた中世の時代を連想させ、そのような心情の当事者が紛争解決のため、前向きかつ積極的に取り組むことができるとは思えない。
 調停手続きに関する一切の書類を含むはずの事件記録が、一般には非公開であっても当事者は閲覧謄写できる本来のものと当事者に対しても「閲覧謄写不可」のものとに区分して取り扱うことがなされている今の方法、措置は以上のように公正な手続きを阻害し、とりわけ民事調停においては、その円滑な進行を妨げるものとなっている。
3 裁判所は原決定の理由の一つとして、照会書を記録として取り扱うか否かは各裁判所の判断運用に委ねられており、そこに記載された内容によっては、手続きの公正の観点から、適宜、これを補う措置、たとえば、その内容を口頭で伝えるなどの方法がとられていると説明する。しかし、担当者次第の口頭による伝達においては、説明の不足や不正確がつきものであり、記録としても残らない。本案の調停事件においても申立人は照会書に記載されているはずの相手方不出頭の理由を確認できないでいる。これはただ単なる一事件の取扱いや運用方法の問題ではなく、一般性のある手続きの原則に関するものである。裁判所や担当者によってまちまちの恣意的な運用それ自体が市民の権利を侵食することであり、それにより気付かぬうちに被害、不利益を被ることになるのは市民一人一人である。照会書を初めとする事件記録の取扱い方によっては、一般市民の裁判所に対する印象や裁判所との関わり方が大きく変化することもあり得るが、それ以上に、権利や制度にかかわることであるので、一市民としてこれをおろそかにすることはできない。
4 その他にも、本案調停事件における照会書が特別送達という正式の方法で送られていることなどを考え合わせても、この照会書を調停事件記録に綴じず、当事者にさえ開示しない裁判所書記官の措置を認めた原決定は不当であり、特に裁判所にはふさわしくないそのような取扱いを容認した原決定に対し、さらに不服を申し立てざるを得ない。
                            以上
疎 明 方 法
1 疎甲第1号証 最高裁判所事務総局民事局出版「民事調停法規の解説」50、51ページ
2 疎甲第2号証 調停事件相手方の2013年(平成25年)10月11日付け送付書と返送された書類
3 疎甲第3号証 「民事調停法実務総攬」371ページ
4 疎甲第4号証 現代実務法律講座「民事調停法」273ページ
5 疎甲第5号証 判例タイムズ臨時増刊2003年11月30日号「大阪簡易裁判所における民事調停事件の諸手続と書式モデル」に掲載の事件経過表書式
6 疎甲第6号証 「民事調停法実務総攬」に文例として記載された調停事件期日経過表とそれについての本文の説明。
添 付 書 類
1 即時抗告状副本                      1通
2 疎甲第1ないし6号証(写し)              各1通

  平成25年10月29日
            上記抗告人  梁  視 訓  印
大阪地方裁判所  御中