2009年12月27日日曜日

裁判記録の一部

5 本件は個人の情報の不適切な取り扱い方法が関係者のみならず、いかに社会に大きな影響と衝撃を及ぼすかを示す典型例であるとも言え、個人情報の取り扱いの重要性をまざまざと見せつけているにもかかわらず、その混乱した事態に直面しても被告は未だに時代の要請に沿った個人情報の適正な取扱いを怠り、内部の情報の扉を固く閉ざしたままそれらを広く周知させようとはしない。まるで情報の自然な流れが強引な力でせき止められているかのようである。そのため、関係者間の説明や対話そのものが欠落し、確固とした裏付けや根拠を欠いたうわさや憶測、さらには意図的な数々の根拠のない関連付け理由づけの流布(一例としては、原告が購買する商品の産地や生産者について一方的に意味付けし風説するようなこと。に関係者誰もがとまどう事態を招き、原告個人の問題に留まらず、関連する全ての事柄について的確な解決の糸口を見出すのが困難な状況に陥っている。被告が関わるというからには本件の不法行為の原因の発端は学術に関することであるに違いないが、原告は学問とは無縁のあまり功をなしたとは言えない医師としての生活を送っており、原告と学術との関わりが何らかの社会的意味をもつというには日常の現実との乖離と飛躍がありすぎるのが実情である。どのような社会的事象であっても、人々の関心の高さに見合った議論がなされるのが普通であるが、本件に関して、いかなる形態であれオープンな議論がなされたという話を聞いたことがなく、原告自身にさえ全く何も知らされないというのはあまりにも不可解である。原告本人にとって重要であるのみならず、大きな広がりをもつ本件全体の閉塞した状況にとってもその意義は小さくないはずの原告のセンシティブな内容を含むすべての自己情報の開示を個人の自律の保障としての自己決定権、現代的プライバシーの権利としての自己情報コントロール権それに知る権利(情報アクセス権)それぞれにおける不可欠の要素というべき自己情報開示請求権に基づき、被告に対し、本訴えの損害賠償請求に追加併合して求める次第である。

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